畳の上に置かれた茶碗と茶筅が、説明されない禅の教えの静けさを伝える風景

なぜ、禅の教えは「説明されない形」で伝えられてきたのか― 禅の教えの歴史

人はいつから、こんなにも考えるようになったのか

私たちは、いつからこれほどまでに
「正しさ」や「意味」や「答え」を、
急いで求めるようになったのでしょうか。

現代社会では、
何が正解なのか、
それにどんな意味があるのかを、
すぐに言葉で説明できることが求められます。

考えること。 理解すること。説明できること。

それ自体は、決して悪いことではありません。
けれど、禅の教えは、
そうした営みが行き過ぎたとき、
あえて「説明しない」という不親切な形を選び続けてきました。

それは怠慢ではなく、
時代ごとに「考えすぎた人間」を救うための、
極めて意図的な選択だったのです。

禅は「言葉があふれた時代」に生まれた

禅の教えの歴史を感じる、静かな禅寺の廊下

禅の源流を辿ると、
かつての仏教は、膨大な「言葉」の集積でした。

たとえば、玄奘三蔵によって編纂された
『大般若経』は、全600巻。
文字数にして、500万字を超えると言われています。

教えは、あまりにも多かった。
あまりにも整いすぎていた。

そうした時代背景の中で、
禅はあえて「言葉を減らす」方向へと舵を切ります。

経典を読み解き、理屈で理解することよりも、
沈黙の中で坐る姿。
一つひとつの丁寧な所作。
そして、お寺という「場」が醸し出す空気。

そこにこそ、
人を変える力が宿ると考えたのです。

情報が増えれば増えるほど、
人の心は曇りやすくなる。
禅の教えは、そのことを、
千年以上前から見抜いていました。

なぜ、禅は経典を読ませなかったのか

坐禅を体験する場を伝える、畳と座布団のある静かな空間

禅が重視したのは、
「知ること」よりも、「体験すること」でした。

どれほど立派な経典を読んでも、
それだけで、自分の心の癖や執着が
手放されるわけではありません。

頭で「わかる」ことには、
どうしても限界があります。

だから禅は、
教えを「頭から、体(行い)へ下ろす」 という選択をしました。

坐禅という実践を通して、
姿勢を整え、
呼吸を感じ、
今ここに立ち返る。

その中で初めて、
人は自分の中に本来備わっている
「仏性(生まれながらの可能性)」に
直接、触れることができる。

説明を省くことは、
不親切なのではありません。
それは、最短で本質に触れるための方法だったのです。

禅問答が生まれた背景にも、禅の教えそのものが「説明されない形」を選んできた
長い歴史があります。

👉 禅問答については、こちらの記事で詳しく触れています。

日本に伝わったとき、禅はさらに静かになった

約800年前、
禅は 道元 によって
中国から日本へと伝えられました。

日本に根づいた禅は、
この土地の気質と深く結びつき、
さらに「静か」で、日常的なものへと洗練されていきます。

道元禅師が持ち帰った最大の気づきは、
特別な教義や理論ではありませんでした。

「眼横鼻直(眼は横に、鼻は縦についている)」

ただ、それだけ。
あるがままの現実を、
そのまま受け取るという態度です。

この気づきによって、
禅は山奥の特別な修行だけでなく、
料理、掃除、食事といった
生活のすべてへと溶け込んでいきました。

  • 他は是れ吾にあらず
  • 一行三昧

修行という非日常を、
「今」を丁寧に生きる日常へ。

日本の禅は、
説明されない教えを、
暮らしの中に静かに根づかせていったのです。

禅の教えは、なぜ「寺」に残ったのか

禅の教えが言葉ではなく寺という場に残されてきた理由を伝える耕雲院の本堂

禅の教えは、
なぜ学校や書物ではなく、
あえて「寺」という非効率な場に残されたのでしょうか。

それは、禅にとって
言葉以上に「場」が必要だったからです。

人の思考は、放っておくと、
過去の後悔や未来の不安へと流れていきます。

お寺は、その流れを止め、
「今、ここ」に立ち止まらせるための装置でした。

千年以上、生と死に向き合ってきた空間。
そこで静かに自分を俯瞰する余白を持つこと。

それは、現代においてもなお、
深い癒しとして機能し続けています。

そして今、また禅の教えが必要とされている理由

情報過多の現代を象徴するスマートフォンと、立ち止まるための静かな時間

現代は、
禅が生まれた時代と同じ、
あるいはそれ以上の
情報・言葉・思考過多の時代です。

私たちは常に、
スマートフォンの画面を通して
「他人の人生」や「過去の出来事」を見続けています。

その結果、
目の前にある「今」を
見失いがちになっている。

こうした時代において、
「前後際断(過去や未来を断ち切る)」という
古い禅の教えは、
最新のメンタルケアとして
再び力を持ち始めています。

禅の教えは、
古いから役に立たないのではありません。
考えすぎた時代にこそ、再び必要になる知恵なのです。

👉現代における禅の考え方については、こちらの記事でより具体的に触れています。

禅の教えの歴史は、いまも続いている

禅の教えは、読むものとして残されてきたのではありません。
本来それは、一定の時間と場の中で、身を置くことで受け取られてきたものです。

富士山麓、山梨県都留市にある
耕雲院では、そうした禅の教えの流れを、
現代のかたちで体験できる時間を大切にしています。

この場所で過ごす時間は、おおよそ 3〜4時間ほど。
何かを詰め込むためではなく、
心の速度が、自然と落ちていく流れの中で進んでいきます。

坐禅や写経、ヨガといった静かな実践を中心に、
その日の状態や流れに応じて、
精進料理を組み合わせることもあります。

費用の目安は 10,000〜15,000円。
場所は、山梨県都留市。
富士山や河口湖周辺から、車で約40分ほどの距離です。

観光地を巡るための体験というよりも、
一度立ち止まり、言葉の手前にある感覚に戻るための時間として、
この場所を訪れる方が多くいらっしゃいます。

👉耕雲院の禅リトリートの体験は、こちらのご予約ページよりお申込みください。

この場を預かる者として—副住職・河口智賢より

耕雲院 副住職・河口智賢(かわぐち ちけん)— 禅の時間をご案内する僧侶

富士山麓、山梨県都留市。
この静かな寺で日々を過ごし、
禅の教えが流れ続ける時間を預かっているのが、
耕雲院副住職の 河口智賢 です。

大本山 永平寺にて修行を重ね、
曹洞宗の教えを、長年の実践を通して受け継いできました。

映画 典座 –TENZO–では、
修行僧・典座の営みを通して、
言葉にしきれない禅の時間を映像として伝える機会にも恵まれました。
この作品は、カンヌ国際映画祭をはじめ、世界各地で上映されています。

ただ、ここ耕雲院で 何より大切にしているのは、
特別な肩書きや経歴ではありません。

目の前の人と、
同じ時間を過ごすこと。
同じ静けさに身を置くこと。

坐禅や写経、ヨガ、精進料理。
そうしたシンプルな実践を通して、
訪れる方一人ひとりと向き合いながら、
私自身が直接、この場をご案内しています。

禅は、限られた人のための
「難しい修行」ではありません。
日々の暮らしの中で、
立ち止まり、呼吸を感じ、
自分の状態に気づいていくための、生き方そのものです。

その思いから、
子ども食堂の運営やオンライン坐禅など、
日常の中に禅の精神を生かす取り組みも続けてきました。

世界各地から訪れる方々を、
この富士山麓の静かな寺でお迎えできること。
それは、この教えが
今も人の中で生き続けている証のように感じられます。

禅の坐禅と、
ごくシンプルな実践を通して。
深遠でありながら、
誰にでも開かれた時間を、
ここで静かに分かち合えたらと思っています。

体験者の声

「心の奥に“静けさの余白”が生まれました。」
日常では味わえない深い静寂に包まれる時間でした。自分の呼吸が“帰る場所”になる感覚を体験できました。

「坐禅と法話が、自分の生活を見直すきっかけに。」
難しい言葉ではなく、日常の中の“禅”を優しく伝えてくださる方でした。家でも呼吸を意識するようになりました。

「ヨガと坐禅の組み合わせが心地よかった。」
身体をほぐしてから坐ると、自然に呼吸が深まりました。富士山の空気と、河口さんの穏やかな声が印象的でした。

よくある質問(FAQ)

初めてでも大丈夫ですか?

もちろんです。姿勢や呼吸法は最初に丁寧にご案内します。

服装に決まりはありますか?

動きやすい服装であれば問題ありません。

写経や精進料理は全員参加ですか?

写経は体験に含まれますが、精進料理はオプションです。ご希望の方のみご予約ください。

坐禅中に眠くなってしまったら?

眠くなるのは自然なことです。眠気に気づくことも禅の一部です。焦らず、呼吸に意識を戻してみてください。

予約はどこからできますか?

こちらのお問い合わせフォームからご予約ください。

言葉の手前に、立ち止まる

禅の教えは、どこか遠い思想として残されてきたのではありません。
人が立ち止まり、同じ時間と空気を分かち合うための場の中で、今も静かに息づいています。

言葉を離れ、説明の手前にある時間に身を置くこと。
それ自体が、禅の教えを受け取る一つの方法なのだと思います。

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