【企業向け】リトリート研修とは?禅×富士山で整う法人向けお寺リトリート
1|リトリート研修とは?意味・目的

リトリート研修とは、日常の職場環境や情報過多な状況から一歩離れ、
静かな環境の中で心身をリフレッシュしながら、仕事や生き方を見つめ直すための研修プログラムです。
現代は、PCやスマートフォン、会議やチャットツールを通して、
常に何かに対応し続けている「思考のフル稼働状態」になりがちです。
だからこそ、一度立ち止まり、
- 自分の心はいまどんな状態なのか
- 何に疲れ、何を大切にして働いているのか
- 本当はどう生き、どう働きたいのか
といった問いに向き合う時間が必要になります。
曹洞宗では、坐禅を通じて心を洗い磨くことを「洗心」と表現します。
坐禅や内省の時間を設けることで、心の曇りに気づき、
本来の自分へと立ち返ることができます。
リトリート研修は、この「洗心」の時間を、
企業という場・組織の文脈に持ち込むための研修とも言えます。
👉坐禅体験の流れについて詳しく知りたい方は、
「体験 坐禅|初心者でもできるやり方と流れ」 も参考になります。
2|なぜ今、企業でリトリート研修が求められているの
離職率・メンタル不調・リモートワークの課題
- 忙しさからくる心身の疲労・燃え尽き感
- 組織への帰属意識や「ここで働く意味」の希薄化
- リモートワークに伴うチームの分断感・孤立感
- 管理職・現場スタッフのメンタルケアの必要性
こうした課題に対し、「研修=知識のインプット」だけでは限界が見え始めています。
企業側の本音としては、
「従業員に、ここで働く価値をもっと感じてほしい」
「人材コストではなく、人への投資として研修を考えたい」
というニーズが高まっています。
リトリート研修は、単なるスキルアップ研修ではなく、
- 働く意味や価値の再確認
- 心身のリセットと再スタート
- 組織と個人の関係性の再構築
といった、より深いレベルの変化を目的とした学びの場として選ばれています。
人材が「辞めない組織」をつくるためには、
評価制度やキャリアパスの整備だけでなく、
一人ひとりが「自分の軸」を取り戻し、
チームとしての信頼関係を築くことが欠かせません。
そのための手段として、
心と体を整える「リトリート研修」に注目が集まりつつあります。
3|通常の研修とリトリート研修の違い

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| 観点 |
一般的なビジネス研修 |
禅を取り入れたリトリート研修 |
| 目的 |
スキル習得・知識のインプット |
自己理解・心身の調整・行動変容 |
| 時間軸 |
過去の振り返り/未来の戦略に偏りがち |
前後際断:過去や未来へのとらわれを離れ「今この瞬間」を生きる |
| 対象 |
業務能力・成果 |
自分自身のあり方(Being)・志・人とのご縁 |
| 手法 |
講義・グループワーク中心 |
坐禅・法話・写経・自然の中での歩行瞑想など体験中心 |
| 成果 |
業務の効率化・ノウハウ習得 |
心の安定・集中力向上・長期的な働き方の変化 |
曹洞宗の禅では、「坐禅をする姿そのものが仏の姿」であり、
何かを得るための手段ではなく、そのあり方そのものが大切だと考えます。
リトリート研修は、その精神を企業という現場に持ち込み、
「働くこと」と「生きること」を切り離さずに見直す機会を提供します。
4|どんな企業・部署に向いているか
管理職・リーダー層向けリトリート研修
経験を重ねるほど、「自分のやり方」や「正しさ」に自負が生まれます。
それ自体は大切なことですが、時にそれが他者の声を受け取りにくくする壁にもなります。
禅の「洗心」の視点から、
- 自分の心の曇りやこだわりに気づく
- 原点に立ち返り、「なぜ自分はこの役割を担っているのか」を見直す
- 利他の心(自分が変われば周りも良くなるという視点)を取り戻す
リトリート研修は、そうしたリーダーシップの“土台”を整える時間になります。
新卒・若手社員向けリトリート研修
- 「自分はここでやっていけるのか」
- 「やりたいことと、実際の仕事のギャップに戸惑う」
といった不安を抱えやすい時期だからこそ、
- 自分の心身の状態を感じ直す時間
- 忙しさから一歩離れて、自分と向き合う安全な場
を提供します。
5|禅に基づくリトリート研修プログラム例
※実施内容は参加人数・目的に応じて変更される可能性があります。
耕雲院のリトリート研修では、特別なトレーニングや複雑なワークではなく、
「静かに体験すること」「丁寧に味わうこと」を大切にしています。
プログラムはシンプルですが、
その静けさの中にこそ、気づきが生まれる余白があります。
| 項目 |
プログラム内容 |
目的・意図 |
| 揃う時間 |
オリエンテーション・寺院作法の案内 |
「はじめの一歩」。自分の立ち位置を知り、場と心を整える。 |
| 体験1 |
坐禅(基本姿勢・呼吸) |
心の動きに気づく時間。「前後際断」=今に集中する練習。 |
| 体験2 |
簡単なヨガ(動く瞑想) |
体をゆるめ、思考中心から「身体感覚」へ意識を戻す。 |
| 食事 |
精進料理/食禅 |
食事を「作業」ではなく「命をいただく時間」として味わう禅の実践。 |
| 体験3 |
写経 |
言葉に向き合う時間。余計な思考が静まり、心が整う。 |
👉 ヨガと禅の関係について詳しく知りたい方は、
ヨガと禅—身体と心が出会う、静けさの体験も参考になります。
6|リトリート研修の実施事例
事例①:宿泊業の企業リトリート研修
テーマ:離職率課題と、働く価値の再発見
ある宿泊業の企業から、リトリート研修のご依頼をいただきました。
コロナ禍を乗り越え、事業としては忙しく順調。
しかしその裏で、
- 従業員一人ひとりの負担の増加
- 離職率の高さ
- 「ここで働く魅力・価値が見えにくくなっている」
という課題を抱えておられました。
私たちは事前の打ち合わせで、
- 今、企業として抱えている課題は何か
- リトリート研修のゴールをどこに置くのか
- 禅を取り入れることで、何を伝えたいのか
を丁寧にすり合わせました。
最終的に、この企業のリトリート研修のゴールは、
「従業員の皆さんに、ここで働く魅力・価値を改めて感じてもらうこと」
に定まりました。
研修当日は、法話や対話を通じて
仕事やお客様との向き合い方について語り合い、
最後に全員で坐禅を行いました。
坐禅後のまとめで、お伝えしたテーマはただ一つ、
「愚直に行きましょう。今与えられている仕事を、愚直に行いましょう。」
という言葉でした。
曹洞宗の経典『宝鏡三昧』第十一節には、
潜行密用 如愚如魯 只能相続 名主中主
と説かれています。
「表立たず、愚かに見えるほどひたむきに、ただ続けていく。その姿こそ、主の中の主である」といった意味です。
スティーブ・ジョブズがスタンフォード大学のスピーチで語った
“Stay hungry. Stay foolish.”
という言葉とも響き合う教えです。
禅の視点から言えば、
- 過去の成功体験にとらわれすぎないこと
- 未来の不安に振り回されすぎないこと
- 「今この瞬間、自分にできること」を愚直に行うこと
が、働き方と職場の未来をつくっていきます。
ホテルの現場であれば、
希望した部署ではないかもしれない。
それでも、今目の前の仕事を丁寧に行うことで、
お客様の満足という、目には見えにくい価値が生まれていきます。
リトリート研修後、
従業員の方々の表情はどこか柔らかく、
「与えられた場で、愚直に取り組むことの意味」を
それぞれの言葉で語っておられたことが印象的でした。
事例②:看護協会の研修リトリート
テーマ:忙しさの中で、自分と向き合う一歩を踏み出す
別の日には、看護協会の研修として、
耕雲院でのリトリート研修が開催されました。
内容は、
などを組み合わせたプログラムです。
開始前に、参加者の皆さんにお尋ねしました。
「皆さんは、なぜこの研修に参加されたのでしょうか?」
返ってきた答えは、とてもシンプルでした。
「忙しさの中で、自分と向き合う時間がなかなか取れないから」
「一度、静かな場で改めて自分と向き合ってみたかったから」
禅の世界では、一歩を踏み出す心を「発心」と言います。
十牛図の最初の場面「尋牛」は、
自分の本来の心(牛)を探しに行く、その第一歩の姿です。
看護の現場は、常に誰かのために動き続ける世界です。
そこでは、どうしても自分のケアが後回しになりがちです。
リトリート研修を終え、帰られるとき、
参加者の皆さんの表情はどこか晴れやかで、
「自分のために、この時間を取ってよかった」という
安堵と決意が同居したような清々しい御顔をされていました。
リトリート研修は、
こうした「忙しさの中で、自分を後回しにしてきた人」が、
自分の人生と仕事にもう一度静かに向き合うための場にもなります。
7|富士山×禅によるリトリート研修 — 耕雲院からのご提案

耕雲院は、富士山麓・山梨県都留市にある曹洞宗の禅寺です。
- 富士山と河口湖を望む自然環境
- 鐘の音や経本をめくる音が響く静寂
- 坐禅・写経・法話・ヨガ・食禅など、禅に根ざした体験
こうした環境の中で行うリトリート研修は、
- 企業の「人」への投資
- 働く人のウェルビーイング向上
- 組織と個人の関係性の再設計
に、静かでありながら確かな影響をもたらします。
禅の言葉に、
「生を明らめ、死を明らむるは、仏家一大事の因縁なり」
という教えがあります。
生きることを明らかにすることは、何よりも大切なことだという意味です。
働き方やキャリアの選択もまた、
「どう生きるか」という問いの一部です。
富士山麓の静けさの中で、
リトリート研修を通じて、社員一人ひとりが
- 自分の生き方を見つめ直し
- 今いる場所で愚直に生きる決意を新たにし
- それぞれの現場に戻っていく
そのお手伝いができればと願っています。
—耕雲院プログラム—
- 所要時間:約3〜4時間
- 内容:ヨガ・坐禅・写経 ※精進料理はオプション
- 費用:10,000〜15,000円
- 場所:山梨県都留市(富士山・河口湖から車で約40分)
👉 詳細・予約はこちら → 耕雲院公式サイトリンク
8|耕雲院 副住職・河口智賢(かわぐち ちけん)

山梨県都留市にある曹洞宗 耕雲院で副住職を務めております、
河口智賢(かわぐち ちけん)と申します。
若い頃に、大本山・永平寺で修行し、
坐禅・作法・精進料理・日常の振る舞いに宿る「禅の心」を学びました。
その後は全国各地、そして国内外の方々へ、禅が持つ実践の知恵を伝える場づくりを続けています。
映画『典座 –TENZO–』では主演を務め、
カンヌ国際映画祭をはじめ海外でも上映されました。
言葉や文化が違っても、「静かに座る」という体験が心に届く。
その事実に、禅が本来持つ普遍性を深く感じました。
耕雲院では、
といった体験を通じて、
訪れる方が「今の自分と向き合う時間」を持てるよう、私自身がご案内しています。禅は、難しい理論や特別な修行ではありません。
毎日の動作・呼吸・食事・人との関わりに、すでに禅があります。
その姿勢が誰にでも開かれているからこそ、
といった形で、日常に寄り添う禅の実践にも取り組んでいます。
富士山麓の静けさの中で、
呼吸が整い、心が落ち着いていくと、
「考える前に、感じられる心」が自然と戻ってきます。
耕雲院での時間が、
読んで覚える学びではなく、
「心とからだで思い出す学び」となるよう、
ゆっくりと、丁寧にご案内いたします。
9|体験者の声
「心の奥に“静けさの余白”が生まれました。」
日常では味わえない深い静寂に包まれる時間でした。自分の呼吸が“帰る場所”になる感覚を体験できました。
「坐禅と法話が、自分の生活を見直すきっかけに。」
難しい言葉ではなく、日常の中の“禅”をやさしく伝えていただきました。家でも呼吸を意識するようになりました。
「ヨガと坐禅の組み合わせが心地よかった。」
身体をほぐしてから坐ることで、自然と呼吸が深まりました。富士山の空気と、河口さんの声が印象的でした。
10|よくある質問(FAQ)
Q. 初めてでも大丈夫ですか?
A. もちろん大丈夫です。作法や呼吸法は最初に丁寧にご案内します。
Q. 服装に決まりはありますか?
A. 動きやすい服装であれば問題ありません。
Q. 写経や精進料理は全員参加ですか?
A. 写経は体験に含まれますが、精進料理はオプションです。ご希望の方のみご予約ください。
Q. 坐禅中に目をつぶってしまったら?
A. 目を閉じてしまうのは自然なことです。眠気に気づくことも禅の一部ですので、焦らず呼吸に意識を戻してみてください。
Q. 申し込みはどこからできますか?
A. こちらのお問い合わせフォームからご予約いただけます。
11|リトリート研修のご相談について
- 宿泊業・医療・福祉・教育・IT企業など、業種は問いません
- 管理職研修、新卒研修、部門合宿、ウェルビーイング施策など、目的に応じてご相談ください
「リトリート研修を検討しているが、何から決めればいいかわからない」
という段階のご相談も歓迎です。
まずは、小さな「発心」から。
お問い合わせをお待ちしております。
